微妙な変化…

恒輝がベッドにもぐりこんで数分が経った
ふと、電話が鳴った
それでも僕は電話に出る素振りを見せなかった

『ガチャ』

留守番電話のメッセージが流れるのかと思ったのだが
ふと見ると、茜がその受話器をとっていた
『はい、もしもし石川さんちの電話で…』
茜がそう言いきる前に僕は茜から受話器を奪った

『もしもし』

電話の相手は同級生の国松だった
『なんだよ、恒輝。今の女の声は?彼女か?連れ込みか?』
『馬鹿な…そんなんじゃねぇよ』
それだけ言うと僕はふと茜の方を見た
茜は口をとがらかせ、白いクッションを抱いていた
『まぁいいや、お前同窓会来るんだろ?』
国松との会話は続いた
僕は曖昧な返事をしてその電話を切った
茜が凄んだ視線を恒輝に向けた
僕はなんとなく煩わしくなってまたベッドにもぐりこんだ
茜はクッションを抱いたままだった

数秒たっただろうか、いやひょっとすると数分、数十分過ぎたかもしれない
沈黙というのは、時間の経過を狂わせる

『かっこ悪いよ、恒輝』

茜がクッションを置いて部屋から出て行った
僕は一瞬ベッドから起き上がろうとしたがすぐにそれを辞めてしまった
今の僕には茜を追う気力がなかった
大きくひとつ、溜息をついた
心はやっぱり微妙な変化を感じ取らせようとしていた

 

 

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